「歴史を知れば手立てが見える」と聞いたことがあります。
歴史には、人間の失敗や成功が伝えられ、そこにヒントがあるというお話です。

難しい歴史の話はさており、これもそういうことではないかと思いご紹介します。

 

人間の知恵

人類が誕生したとき、どんな生活をしていたのでしょう。
当然、何かを食べていかなければ生きては行けませんので食料の確保は日常的に必要です。

狩で獲物をとってくる、木の実や食用植物をとってくる。
その場所でとるものが無くなれば、場所を移動する。
そんな生活だったのでしょう。

時には、全く食料を調達できない日もあったでしょう。場所を移動しても、思うような食料にありつけないこともあったでしょう。人間だけでなく動物たちも食料を求めていますから、取り合いになることもあったと思います。

その後、人間は栽培や養殖(家畜)を始めますね。そうすれば安定した食料を得られるようになります。栽培できない冬の時期にために保存食も生み出しました。

このような知恵に学べるところが、売上づくりにもあるのではないでしょうか。

狩猟型の売上づくり

常に獲物を探して狩り続ける様子に例えられることから、「狩猟型」という見方があります。

特に観光業、お土産屋や飲食店、ドライブイン型の店舗などはこれにあたりますね。
いかに通りの観光客を入店させ購入につなげるかというモデルです。

入店しやすい、ついつい入っちゃう、いいもの見つけた・・・
そんなお客様の心理をつかんだ工夫が重要になります。

一度大変に賑わう時期に、観光地の店舗が密集したところに行ってウォッチングしてみてください。どんなお店には人が入りやすいのか、どんな商品が売れているのか、をじっくり観察します。すると、いろんなヒントが見えてきます。

最大のポイントは、「コンセプトが明確」であることです。

「何屋」かがすぐわかる、入店するドキドキ感、なんだか楽しい・・・
そんな、いろんなポイントが見えてきます。

もっとじっくり観察すると、商品の並べ方や通路の作り方、POPやプライスカードなどにもヒントが見えてきます。

これはネットショップでも同じです。

モール型ネットショップでは、商品一覧でいかにクリックしてもらえるかを考えるのにこの考え方がヒントになるはずです。

単独のネットショップでは、検索サイトの検索結果ページ上で。上位表示も重要ですが、ここでいかにクリックしてもらえることも重要です。

狩猟型は、新規客の獲得モデルです。賑わう人通りの中で、どう工夫すればこっちを振り向いてもらえるかが重要です。

農耕型の売上づくり

種を蒔いて水をやり、実ったところで刈り取る様子に例えられることから、「農耕型」という見方があります。

実は多くのご商売がこれに当てはまります。

まずは見込み客の確保、確保したらコミュニケーションをとって関係を深め、購入につなげます。
ここでは、ひとつひとつのステップが重要になります。

お客様にとっては、「購入」というところにいきなり段差のある階段には登れないので、一段一段、登りやすい階段を用意して上がってもらいます。
その階段の一段一段に合ったアプローチ、コミュニケーションが重要です。

「チラシを蒔いてもなかなか・・・」「DMを出してもなかなか・・・」というのは、最初から高い段差を望んでいるからです。登りやすい階段をいくつも用意して、一段一段登っていただくことが必要です。

農耕型にはもう一つ見方があります。

果物の栽培に着目してみましょう。育った木は、毎年毎年実をつけます。同じ木が何度も何度も実をつけます。
これはリピーターに例えられませんか?
大切に育てた木は、枯れない限り実をつけ続けます。

顧客名簿を整理しましょう。
ひょっとして無い!なんてことはありませんよね。
特に、ネットショップを運営している方は要注意です。メールだけで管理していると名簿になっていないケースが多々あります。
ネットショップでも、顧客管理の機能を持ったシステムを使っていれば安心ですね。

リンゴの木も、肥料や消毒などの管理を徹底することでいい実をつけてくれます。
顧客名簿のお客様とのコミュニケーションを徹底することで、いい実をつけてくれるはずです。

農耕型は、リピート客育成のモデルです。関係を継続させ、深いコミュニケーションがよい収穫をもたらします。

どっちも必要

狩猟型と農耕型のどちらがいいか悪いかという話ではないことはご理解いただいていると思います。

もうひとつ着目していただきたいのは、狩猟型にも農耕型が、農耕型にも狩猟型が重要だということです。

例えば、お土産屋さんを例に出しましたが100%狩猟型ではないはずです。
地方発送を請け負えば、そのお届け先を入手することができます。もちろん、お客様の了解を得る必要はありますが、この情報が顧客リストとなって、また実を実らせることができます。

こんな例があります。
ある飲食店では、お持ち帰りの商品を開発しました。観光客の方向けの地方発送は人気、了承を得たお客様には定期的にギフトの案内を発送、気がつけば毎年購入頂けるお客様が多数いらっしゃったということです。

逆はどうでしょうか。

農耕型の場合、実りをつけないものもあります。老木となったものや病気になった木は実をつけません。新たな木が必要になります。また、場所を広げて木の本数を増やすことも重要です。

このように、どっちかではなく、どっちも必要であることがわかりますね。

マーケティングというと、難しく見えてしまうことも、こんな視点で見方を変えてみると理解しやすくなりますね。

御社に当てはめて考えてみてください。思わぬヒントが見つかりますよ。